会社設立後の役員報酬はいくらにするべき?決め方と注意点

会社を設立した際、多くの経営者が悩むのが役員報酬の金額です。

役員報酬は自由に決められると思われがちですが、一度決めると自由に変更できません。また、会社の利益や資金繰り、個人の生活費なども考慮する必要があります。

この記事では、役員報酬を決める際の考え方や注意点について解説します。

会社設立後に必要な手続き全般については、「会社設立後にやることチェックリスト」もあわせてご覧ください。

目次

役員報酬を決める際のルール

役員報酬は自由に決められるわけではありません。

税務上のルールがあり、決定時期や支給方法によっては経費として認められない場合があります。

まずは役員報酬を決める際の基本的なルールを確認しましょう。

設立後3か月以内に決定

役員報酬は、事業年度開始の日から3か月以内に決定する必要があります。

会社設立1期目の場合は、設立日から3か月以内に役員報酬を決定することになります。

例えば、設立日が9月1日なら11月30日までに決定する必要があります。
※9月分と10月分は報酬を出しても、報酬を出さなくても大丈夫です。

チェックポイント

設立日から3か月以内に決定しなければならない。

株主総会議事録を作成する

役員報酬を決定した場合は、株主総会議事録を作成しておきましょう。

一人会社であっても、いつ・いくらの役員報酬を決定したのかを記録として残しておくこと必要があります。

税務調査で確認を求められることもあるため、決定した内容は適切に保存しておきましょう。

なお、議事録の作成方法が分からない場合は、「株主総会議事録 テンプレート」などで検索すると、ひな形が見つかります。

チェックポイント

役員報酬を決定したら、株主総会議事録を作成・保存する。

役員報酬は毎月同額にする

役員報酬は、原則として毎月同じ金額にする必要があります。

例えば、役員報酬を月額30万円と決定した場合は、毎月の報酬額を30万円として支給額します。

一時的な資金繰りなどの理由では自由に変更することはできません。

なお、実際に振り込む金額は、源泉所得税や社会保険料などを控除した後の金額となります。

※このような役員報酬を「定期同額給与」といいます。

チェックポイント

役員報酬は、原則として毎月同じ金額(定期同額給与)にする。

なお、役員報酬を変更できる時期や、途中で変更できるケースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

役員報酬を決める際のポイント

役員報酬は、税務上のルールだけで決めるものではありません。

生活費や会社の利益、資金繰りなども踏まえて決定する必要があります。

ここでは、役員報酬を決める際に考慮したいポイントを紹介します。

まずは生活費を把握する

役員報酬を決める際は、まずご自身やご家族の生活費を把握しましょう。

法人のお金と個人のお金は別になります。
法人用口座から自由にお金を引き出して、生活費に使うことはできません。

特に、個人事業時代に事業と生活費を分けていなかった場合、法人化した後はキッチリ分ける必要がある点に注意が必要です。
※法人と個人のお金が明確に区別されていない場合、税務調査の際に確認を求められることがあります。

家賃や住宅ローン、食費、教育費などを踏まえ、毎月最低限どの程度の役員報酬が必要なのかを確認しておくことが大切です。

チェックポイント

まずは毎月必要な生活費を把握する。

会社の利益や資金繰りを考慮する

役員報酬は、生活費だけで決めるものではありません。

役員報酬を高く設定しすぎると、会社の資金繰りに影響する可能性があります。

特に設立直後は、売上や利益の見込みが不確実なことも多いため、仕入代金や借入金の返済、給料・社会保険の支払いなど、毎月の支払いを考えて無理のない金額に設定することが大切です。

また、将来的には納税資金や設備投資の予定なども踏まえ、会社に一定の資金を残すことも考える必要があります。

チェックポイント

生活費だけでなく、会社の利益や資金繰りも考慮する。

所得税や社会保険も考慮する

役員報酬を決める際に、最初に思い浮かぶのは税金や社会保険の負担かもしれません。

役員報酬は会社の経費なので、役員報酬を高くすると法人税は減少しますが、個人の所得税や住民税、社会保険料の負担は増加します。

役員報酬は社長自身の手取りにも関わるため、節税面から最適な金額を考えたくなるものです。インターネットでも様々な情報が見つかります。

ただし、節税だけを重視すると、生活費が不足したり、会社の資金繰りに影響したりする可能性があります。

税金や社会保険も重要な判断材料ですが、それだけにとらわれず総合的に検討することをおすすめします。

チェックポイント

税金や社会保険の最適化は、役員報酬決定の一要素と考える。

役員報酬の注意点

役員報酬を決定した後は、変更や支払い方法にも注意が必要です。

思わぬトラブルを防ぐため、事前に確認しておきましょう。

原則として途中変更はできない

役員報酬は、一度決定すると原則として事業年度の途中で変更することはできません。
理由なく増減させると、経費として認められない可能性があります。

「業績悪化改定事由」といって、会社の経営状況が著しく悪化したこと等により、減額改定は可能とされています。

しかしながら、一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標に達しなかったことなどでは、減額は認められないこととされています。

そのため、役員報酬を決定する際は、1年間の売上や利益の見込みも考慮して慎重に決定することが大切です。

チェックポイント

役員報酬は原則として事業年度の途中で変更できない。

未払のまま長期間放置しない

役員報酬を決定したら、実際に支払うことも重要です。

会社の資金繰りなどを理由に支払いを先送りにしていると、税務上の問題につながる可能性があります。

創業期に少しの期間ならともかく、「会社経費にはしているけど、支払いはしてません」という状況を、長期間続けてしまうとその理由について説明を求められることがあります。

役員報酬は決定した金額を適切に支払い、未払のまま放置しないようにしましょう。

チェックポイント

役員報酬は適切に支払い、未払のまま長期間放置しない。

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まとめ

役員報酬に「これが正解」という金額はありません。

生活費や会社の利益、資金繰り、税金や社会保険などを考慮しながら、ご自身の会社に合った金額を検討することが大切です。

また、一度決定した役員報酬は原則として事業年度の途中で変更できません。設立後は早めに検討しておくことをおすすめします。

役員報酬の決め方に迷われた場合は、ぜひ税理士にご相談ください。

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