会社を設立すると、「会社のお金」と「個人のお金」は分けて管理した方がよいと言われます。
しかし、「なぜ分ける必要があるのか」「どこまで分ければよいのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
創業直後は、法人口座の開設前に個人のお金で経費を支払ったり、反対に会社のお金で個人的な支出をしてしまったりすることも少なくありません。
こうしたお金のやり取り自体が直ちに問題になるわけではありませんが、適切に記録していないと、経理処理が複雑になったり、決算や申告の際に手間が増えたりする原因になります。
この記事では、会社と個人のお金を分けて管理する理由や、よくあるケース、日頃から気を付けたい管理のポイントについてわかりやすく解説します。
会社と個人のお金を分ける必要がある理由
法人を設立すると、会社のお金は社長個人のお金とは別に管理する必要があります。
とはいえ、創業したばかりの頃は、なぜ分けなければならないのか分からないという方も少なくありません。
ここでは、個人のお金と会社のお金を分ける必要がある理由について解説します。
H3 法人と個人は法律上別の存在
法人を設立すると、会社は社長個人とは別の存在として扱われます。
たとえ社長が100%出資している会社であっても、会社の預金は社長個人の財産ではありません。
そのため、会社のお金と個人のお金は区別して管理する必要があります。
また、会社の経費として計上できるのは、事業に関連する支出です。
個人的な支出を会社の経費として処理することはできません。
法人と個人を別のものとして考え、お金の管理を分けることが、適切な経理や申告の第一歩です。
法人と個人は法律上別の存在であるため資金は区別して管理する。
お金を混ぜると経理や申告が複雑になる
会社と個人のお金が混ざってしまうと、どの支出が会社の経費で、どの支出が個人的なものなのか分かりにくくなります。
例えば、プライベートの買い物と事業に関する支出が同じ口座やクレジットカードから決済されている場合、一つひとつ内容を確認しながら経理処理を行わなければなりません。
また、支出の区分が曖昧になることで、本来は経費にならないものを誤って経費計上してしまったり、反対に経費として計上できる支出を見落としてしまったりする可能性があります。
その結果、申告内容が不正確になったり、本来より多く税金を支払ってしまったりすることもあります。
日頃から会社と個人のお金を分けて管理しておくことで、経理処理がスムーズになるだけでなく、正確な申告にもつながります。
会社と個人のお金を分けることで正確な経理・申告につながる。
会社と個人のお金が混ざってしまった場合はどうする?
会社と個人のお金は分けて管理することが大切ですが、創業直後はどうしても両者の支出が混ざってしまうことがあります。
例えば、個人のお金で会社の経費を立て替えたり、誤って会社のお金で個人的な支出をしたりするケースは決して珍しくありません。
ここでは、会社と個人のお金が混ざってしまった場合の基本的な考え方について解説します。
H3 個人のお金で会社の経費を支払った場合
創業直後は、法人口座の開設前や資金移動の都合により、社長個人のお金で会社の経費を支払うことがあります。
例えば、会社の備品購入費や通信費、名刺作成費などを個人のクレジットカードや預金口座から支払うケースは珍しくありません。
こうした支出は、事業に関連するものであれば会社の経費として処理できます。
ただし、個人のお金で支払ったままにせず、会社が社長へ返金する形で適切に精算することが大切です。
また、後から内容を確認できるよう個人で立て替えた経費は記録を残し、適切に精算するようにしましょう。
個人で立て替えた経費は記録し精算する。
会社のお金で個人的な支出をした場合
前述の通り、会社と個人は法律上別の存在なので、プライベートな買い物や個人的な支出を会社のお金で支払うことは原則として認められません。
例えば、個人の飲食代や日用品の購入代金などを会社の預金口座やクレジットカードで支払ってしまっても、当然会社の経費として処理することはできません。
法人の資金で個人の支払いをしてしまうと、会社と個人のお金の区別が曖昧になり、経理処理や申告が複雑になる原因になります。また、税務調査の際に支出内容について説明を求められる可能性もあります。
誤って会社のお金で個人的な支出をしてしまった場合は、その内容を記録し、会社へ返金するなど適切な対応を行うことが大切です。
会社の資金で個人的な支出は原則行わない。
会社と個人のお金を分けるためにやっておきたいこと
会社と個人のお金が混ざってしまった場合でも適切に処理することはできますが、日頃から両者を分けて管理しておくことが大切です。
会社と個人のお金を明確に区別しておくことで、経理処理や申告をスムーズに進めやすくなります。
ここでは、会社と個人のお金を分けて管理するために実践したいポイントを紹介します。
法人口座を早めに開設する
会社と個人のお金を分けて管理するためには、法人口座を開設し、会社のお金の出入りを法人口座に集約することが大切です。
法人口座がない状態では、売上の入金や経費の支払いを個人の口座で行うことになり、会社と個人のお金が混ざりやすくなります。
また、法人口座を利用することで、どの入金や支出が会社の取引なのか把握しやすくなり、経理処理や資金管理もスムーズになります。
会社設立後は、できるだけ早い段階で法人口座の開設手続きを進めるようにしましょう。
会社のお金の出入りは法人口座に集約する。
※法人口座の開設手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

クレジットカードや決済手段を分ける
創業直後は、個人用のクレジットカードや電子マネーを利用して事業に必要な支出を行うこともあります。
しかし、個人用と会社用の決済手段を混在させると、どの支出が会社の経費なのか判断しにくくなり、経理処理の手間が増える原因になります。
そのため、法人口座の開設後は、会社専用のクレジットカードや決済手段を用意し、事業に関する支出はできるだけ会社用の決済手段に統一することをおすすめします。
また、経費精算の漏れや誤った経費計上を防ぐためにも、個人の支出と会社の支出を明確に分けて管理することが大切です。
会社用と個人用の決済手段を分ける。
領収書や請求書を整理して保管する
会社と個人のお金を分けて管理していても、領収書や請求書が適切に保管されていなければ、正しい経理処理を行うことはできません。
また、領収書や請求書の紛失は、経費計上漏れや支出内容の確認不足につながる可能性があります。
その結果、本来計上できる経費を見落としてしまい、余分な税金を支払うことにもなりかねません。
日頃から領収書や請求書を整理し、内容や支払方法が確認できる状態で保管しておくことが大切です。
領収書や請求書は整理・区別して保管する。
※なお、法人の経費については、こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ
会社を設立すると、会社と個人は法律上別の存在として扱われます。そのため、会社のお金と個人のお金は分けて管理することが大切です。
創業直後は、個人のお金で会社の経費を立て替えたり、誤って会社のお金で個人的な支出をしてしまったりすることもあります。
しかし、そのような場合でも内容を記録し、適切に精算や処理を行うことで正しい経理・申告につなげることができます。
また、法人口座やクレジットカードを分けて利用し、領収書や請求書を整理して保管することで、会社と個人のお金が混在するリスクを減らすことができます。
経理処理や申告をスムーズに行うためにも、会社と個人のお金は日頃から区別して管理するようにしましょう。
※会社設立後に必要な手続きについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。


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