役員報酬は途中で変更できる?定期同額給与のルールと注意点を解説

会社を設立してしばらくすると、

「思ったより利益が出そうだから役員報酬を上げたい」
「業績が悪くなったので役員報酬を下げたい」
「役員報酬はいつ変更できるのだろう?」

と悩む方は少なくありません。

しかし、役員報酬は従業員の給与とは異なり、自由に金額を変更できるわけではありません。
税務上は「定期同額給与」というルールがあり、変更できる時期や理由が厳しく定められています。

ルールを守らずに変更すると、変更後の役員報酬が経費として認められない可能性もあります。

この記事では、役員報酬を途中で変更できるのか、変更できる時期や認められるケース、実務上の注意点について分かりやすく解説します。

目次

役員報酬は自由に変更できない

役員報酬は、従業員に支払う給与とは異なり、会社の判断だけで自由に増額や減額ができるものではありません。

税法では、一定の条件を満たした役員報酬のみを損金(経費)として認めています。

中でも最も一般的なのが、「定期同額給与」と呼ばれる制度です。

まずは、なぜ役員報酬にルールが設けられているのか、そして定期同額給与とはどのようなものなのかを確認していきましょう。

なぜ役員報酬にはルールがあるのか

役員報酬にルールが設けられている理由は、会社が自由に利益を調整できないようにするためです。

もし役員報酬を好きなタイミングで変更できると、利益が出そうな時だけ役員報酬を増やして法人税を減らすことができてしまいます。

そのため税法では、一定のルールに従って支払われる役員報酬だけを損金(経費)として認めています。

役員報酬にはいくつか種類がありますが、まずは「定期同額給与」のルールを理解しておくことが重要です。

チェックポイント

役員報酬は、利益調整を防ぐため厳格なルールが設けられている。

定期同額給与とは何か

定期同額給与とは、毎月同じ金額を支払う役員報酬のことです。

例えば、「毎月25日に30万円」と決めた場合は事業年度中は毎月継続して同額を支給します。

毎月同額を支給すれば、原則として定期同額給与として認められ、役員報酬を経費にすることができます。

一方で、特別な理由がないにもかかわらず事業年度の途中で役員報酬を増額・減額すると、経費として認められない可能性があります。

そのため、役員報酬を決定する際は、会社の利益や個人の税負担、社会保険料などを考慮した上で慎重に金額を決めることが重要です。

チェックポイント

役員報酬は、原則として毎月同じ金額を支給する

役員報酬を変更できる時期と手続き

役員報酬は一度決めたら、いつでも自由に変更できるわけではありません。

定期同額給与として経費にするためには、変更できる時期が決められています。

まずは、役員報酬を変更できる基本的なタイミングについて見ていきましょう。

事業年度開始から3か月以内に決める

役員報酬は、原則として事業年度開始の日から3か月以内に改定する必要があります。

例えば、3月決算の会社であれば事業年度は4月から始まるため、6月末までに新しい役員報酬を決定することになります。

実務上は、決算が確定した後に利益見込みや資金繰りを確認し、定時株主総会で役員報酬を決議するケースが一般的です。

そのため、役員報酬を見直したい場合は、決算が終わってから慌てて検討するのではなく、事前に利益予測を行いながら金額を検討しておくことが大切です。

チェックポイント

役員報酬の改定は、原則として事業年度開始から3か月以内におこなう。

株主総会等で正式に決定する

役員報酬を変更する場合は、金額を決めるだけでなく、株主総会等で正式に決議しておくことが重要です。

役員報酬を決める機関は会社ごとに定款で決められていますが、特に中小企業では、株主総会で決定するケースが一般的です。

また、税務調査では「いつ、どのような内容で役員報酬を決定したのか」が確認されることがあります。

そのため、株主総会議事録などの書類を作成し、適切に保管しておきましょう。

※役員が1名の会社であっても、役員報酬を変更した際は議事録を作成・保管しておきましょう。

チェックポイント

役員報酬を変更したときは、株主総会等で決議し議事録を保管しく。

期中でも変更できるケース

役員報酬は原則として事業年度開始から3か月以内に決定しますが、一定の事情がある場合には期中の変更が認められることがあります。

ただし、「利益が出そうだから増額する」といった理由では認められません。

ここでは、期中の変更が認められる代表的なケースについて解説します。

役職変更などの「臨時改定事由」

役員報酬は原則として事業年度の途中で変更できませんが、役員の職務内容が大きく変わった場合などは例外的に変更が認められることがあります。

例えば、平取締役だった方が代表取締役に就任した場合や、担当する業務や責任が大幅に変わった場合などです。

このようなケースは「臨時改定事由」と呼ばれ、変更内容に合理的な理由がある場合には、期中であっても役員報酬の増額や減額が認められます。

なお、臨時改定事由については税務調査で確認される可能性があるため、株主総会等の議事録や登記、定款等の変更を行い、客観的に説明可能にしておきましょう。

チェックポイント

役職や職務内容に大きな変更があった場合は、期中でも変更が認められる場合がある。

業績悪化による減額

会社の経営状況が著しく悪化した場合には、例外的に減額が認められることがあります。

こちらの「業績悪化による改定」については、単に利益が予想を下回った場合や、一時的な資金繰りの都合だけでは認められない点に注意が必要です。

例えば、「借入金の返済が困難となり、金融機関と返済条件の見直しを協議している場合」など、経営状況の著しい悪化が認められることが必要です。

税務調査で説明を求められることもあるため、減額に至った経緯や根拠資料は、必ず保存しておきましょう。

チェックポイント

単なる業績不振ではなく、経営状況の著しい悪化による場合に認められる。

まとめ

役員報酬を変更する場合は、事業年度開始から3か月以内に決定することが原則です。

期中に変更できるのは、役職変更や経営状況の著しい悪化など、限られたケースに限られます。

誤った方法で変更すると税務上不利になる可能性があるため、変更を検討する際は事前に税理士へ相談することをおすすめします。

なお、「役員報酬をいくらに設定するべきか」については、以下の記事で解説していますので、良ければ併せてご確認ください。

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